紳士靴の靴底修理お見積もりT様の場合

こんにちは。

立岡靴工房の立岡海人です。

 

今回は何年も大切に履かれた紳士靴の修理、リペアについての記事です。

立岡靴工房では、当工房でおつくりした靴以外のメンテナンスもお受けしています。

一番多くご相談をいただくのは靴底が減ってきた、削れてきたというもの。

レザーソールの場合、消耗が激しくなってくると靴底に穴が開いてしまうこともあります。

 

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丁度、足の親指で踏み込んだ少し先の部分が色が変わっているのが、わかりますでしょうか?

この状態であれば、靴底につま先の形にカットしたゴムを貼り付ける修理(ハーフソール紳士:3,000円)での対応となります。

ただ、この革底の取り付け方というのがグッドイヤーウェルト製法という方式でつくられているのですが

靴底と靴の上の部分の革を縫い付けている糸が切れてしまい、開いてしまっています。

縫い直しという修理が必要なので、グッドイヤーウェルト製法のためのミシンでダダダーっと縫い直しをしないといけません。

金額的にはウェルトの縫い直し:6,000円です。

 

縫い直しのメリットは、靴底を全て交換する修理(オールソール紳士:16,500円)に比べて金額的に少し安い。

デメリットはミシンで縫い直すので、現状の縫い糸の穴とは違うところに新しい穴を開けて糸を通すために耐久性が落ちます。

1回ウェルトを縫い直したからといってすぐに壊れる訳ではありませんが、5回くらいが一つの目安になると言われています。

ミシンを使わず、完全に手作業で修理する方法もありますが予算的に35,000円〜と高額になるのでミシン修理が一般的です。

 

そして、靴底がこれだけ痛んでいる場合は他の部分もメンテナンスが必要になってきます。

例えば靴の内側、足のカカトと靴が当たる部分が摩擦で薄くなり、最終的には破れてしまうことがあります。

 

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破れた中から見えるのは靴のカカトをホールドして、形を崩れないようにする芯材。カウンターといわれる素材です。

革の素材や、合成樹脂などが使われていることが多くあります。この靴の場合はプラスチック系のようです。

破れた部分に革を当てて修理する方法があり、片足で3,300円、両足ペア左右の場合はx2で6,600円です。

 

そしてこの心材は足をホールドするためにコの字型に入っていて、同じように前の方でも擦れたりします。

擦れると破れてくるので、長く履いている靴は靴の内側も痛みが出て来ます。

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この破れは革を当てて縫ってもいいんですが、縫い糸が外側に出てしまうのと、足に当たって違和感になったりするので

切れ目から丸くカットした革を差し込んで、接着剤で貼り付けて穴が広がらないように固定する修理方法をお勧めします。

薄く加工した革を広げながら差し込む修理で、2,200円のお見積もりです。

 

あと、足の裏が当たる中敷も長年の使用で接着剤が剥がれ、めくれてしまったりしています。

中敷を一度剥がしまして、めくれた形を修正して、接着面も接着剤がつきやすいように整えて張り替えをすると

片足1100円x左右なので2200円のお見積もり。

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一つ一つの作業にちょっとずつ手間がかかってくるので、修理代も少しずつ積み上がってきます。

 

 

 

ここで、修理代金を振り返ってみると

プランA:一番メンテナンス代金が高いが3年は持つ場合

オールソール 16,500円

靴のカカト内側修理 6,600円

靴の内側破れ修理 2,200円

靴の中敷めくれ再接着 2,200円

合計27,500円(税込)となります。新しい靴が一足購入できるかもしれません。

でも、気に入って履いていて、何年も履いて足に馴染んだ時間はお金では買えないので悩むところです。

 

 

そしてプランB:あと1〜2年は履けるように。定期的な修理が追加で必要になるかも。

靴底の縫い直し 5,500円

靴底のつま先にゴムの補強 3,000円

靴のカカト内側修理 6,600円

靴の内側破れ修理 2,200円

靴の中敷めくれ再接着 2,200円

カカトの修理 3,000円

合計が22,500円となります。

 

プランAと5,000円の差額ですが、靴底が全て新品になるプランAの方が後々長く履くなら良いかもです。

 

最後にプランC:最低限、半年〜1年持てばOKの場合。

靴底の縫い直し 5,500円

靴底のつま先にゴムの補強 3,000円

カカト修理 3,000円

合計11500円。最低でもこれくらいかかります。靴底は補強しないともうすぐ穴が空きますし。

カカトの内側は、破れてますがそのまま。どうしようもなく広がってきたらその時に考える。

人前で脱ぐことがなければギリギリOKかもしれません。

 

 

 

まとめます。

プランA:一番メンテナンス代金が高いが3年は持つ場合 27,500円 納期は4週間ほど。

プランB:あと1〜2年は履けるように。定期的な修理が追加で必要になるかも。22,500円 納期は3週間ほど

プランC:最低限、半年〜1年持てばOKの場合。11500円 納期は2週間ほど。

 

というところです。

修理金額にかける目安は、購入金額の1/3〜1/2と言われますので3〜4万円代の靴であれば

プランB以上がおすすめ。

1〜2万円代の靴であれば新しい靴を購入するのが良いと思います。

 

いかがでしょうか。

 

 

立岡靴工房では西日本豪雨被害の支援のために、ももたろう基金を応援しています。

公益財団法人みんなでつくる財団おかやまが設置した

岡山県内における平成30年台風第7号及び前線に伴う大雨による災害に対する支援寄付基金

「ももたろう基金」

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立岡靴工房でも何かしら現金で支援するようなコンテンツを作ろうと考えていますので

いろんな支援先がある中で、この「ももたろう基金」に寄付しようかな、と思っています。

理由は、信頼できる友達がやってるからです。

他にも良さそうなものが出てきたら、また改めてご紹介します。

自分が靴づくりの仕事ができる幸せを感じながら、自分の仕事にも癒されています。

明日も、いつもと同じように美しいものをつくり続けます。

関連記事:3年前、火事の被災者として今回の豪雨被害の翌日に行動して感じたことと思い出したこと

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